成功者への階段を上がっていく人

「カーネギー」アメリカの大実業家。

少年工から身を起こして世界の鋼鉄王となった。

晩年は財産をことごとく公共事業に寄付して、慈善王と呼ばれる。

 

 

一人の新聞記者がカーネギーを訪ねて、こう頼んだ。

「青年のために、何か成功の秘訣というものをお話しください」 

するとカーネギーは即座にこう答えた。 

「よろしい。成功の第一の秘訣は、貧乏人の子供に生まれることだ」

新聞記者がびっくりして、 「へえ、貧乏人の子供にですか」 と聞き返すと、

「そうだ。私はそう信じている。私は食うや食わずの貧乏人の子供に生まれた。

毎晩、両親が暗い灯火のもとで、生活の苦しみをかこっているのを聞いたとき、

私の胸の中に奮発心が湧き起こったのだ。

今に見ろ! お父さんやお母さんをこんなに苦しめている貧乏というやつを

見事退治して見せるから、とね。

今日の私があるのは、これだ」

「よくわかりました。第二は?」 

新聞記者がそう聞くと、カーネギーは答えた。 

「第二は、どんな仕事でもいいから、絶えずその第一人者となることを心掛けることだ」

「なるほど」と頷(うなず)くと、カーネギーはこういった。

「私は最初、十二歳のときに紡績工場の糸巻き小僧に雇われた。

そのとき私が決心したのは、よし、世界一の糸巻き小僧になってやれ、ということだった。

そして 一生懸命に働いた。

その働きが 認められて、

こんな子供にいつまでも糸巻き小僧をさせておくのは惜しいというので、

今度は郵便配達員に雇われた。

そのときも自分はこう決心した。

世界一の郵便配達員になってやろう、とね。

そして 一生懸命に 

一軒一軒の家と番地と名前を暗記した。

しまいには、町中のどんな小さな小路でも、私の知らない家は一軒もなくなった。

無駄な努力という人もいるかもしれないが、

それが認められて、

今度は電信技手にあげられた。

以来だんだんと同じやり方で、ついに今日の地位を築いた。

今、目の前にある仕事を

一生懸命することによって、

今より 高い地位が与えられる。

そうやって 少しずつ階段を上がっていって、

いつの間にか 揺るぎないポストに就いていた。

人は 将来の不安、過去の後悔、いろんなことを考えてしまうものである。

だが 今 目の前の仕事を一生懸命やる。

その積み重ねが成功への道へと続く、

そのことを彼は 実体験から教えてくれる。